AIに音声で指示を出していたら、10年前のYouTube時代に嫌というほど戦った「えー」癖が復活していた。今回は波形で消すだけじゃなく、「なぜ出るのか」を科学的に調べてみた結果、 「完全に消す」より「コントロールする」が正解 だと分かりました。
この記事を読むと分かること
- フィラー(えー、あのー)が出る 脳のメカニズム
- 研究で分かった「適量」の具体的な目安( 100語に○回 )
- 今日からできる 5つの実践的な対策
- 録音・練習に使えるおすすめの機材とツール
目次
- きっかけはAIへの音声指示
- YouTube時代、波形でフィラーを消していた話
- フィラーが出る「本当の理由」を科学的に解説
- 意外な真実:フィラーは武器にもなる
- 今日からできるフィラー対策5選
- おすすめの機材・ツール
- まとめ:「直す」ではなく「コントロール」
きっかけはAIへの音声指示
最近、AIエージェントを使って開発をしています。
コードを書くだけではなく、「こういうアプリ作って」「このバグ直して」と指示を出すと、AIがコードを書いてくれる。いわゆる Vibe Coding と呼ばれるスタイルです。
で、この指示を音声入力で出すことが多い。
キーボードで長文を打つより、しゃべった方が早い場面があります。特に「やりたいこと」の全体像を伝えるときは、音声の方が圧倒的にラクです。
ただ、ここで問題が起きました。
自分の音声入力を見返すと、 「えー」「あのー」「えーと」 が多い。
……あ、これ知ってるぞ。
10年前にYouTubeで動画を作っていた時にも、まったく同じことで悩んでいました。
YouTube時代、波形でフィラーを消していた話
私はかつてYouTubeでゲーム実況のチャンネルを運営していました。
解説パートではマイクで自分の声を録音する場面があったのですが、編集作業がとにかく地獄でした。
録音した音声を聞き返すと、言葉と言葉の間に 「えー」「えーと」「あのー」 が入りまくっている。1分の音声に5〜6回は入っています。
最初は一つ一つ再生して、フィラーの部分を選択して削除していました。
これが本当に面倒くさい。
ところが、何十本と動画を編集しているうちに、ある変化が起きました。
フィラーの波形パターンを覚えてしまったのです。
音声編集ソフト(Audacityなど)では、音声が波形として表示されます。通常の発話は山と谷がはっきりしているのですが、 「えー」は独特の平坦で短い波形 になります。
慣れてくると、波形を 見ただけ で「あ、ここフィラーだな」と分かるようになりました。
聞かずに削除。
我ながらどうかしていると思いますが、それくらい大量のフィラーと戦っていたということです。
でも結局、 編集で消せても、話す癖そのものは直りませんでした 。
フィラーが出る「本当の理由」を科学的に解説
あれから10年。AIへの音声指示でまた同じ癖と向き合うことになったので、今度はちゃんと「なぜフィラーが出るのか」を調べてみました。
脳は話すとき3つの処理を同時に行っている
心理言語学によると、私たちが話すとき、脳は以下の3段階を同時に処理しています。
- 概念化 — 何を伝えるかを決める
- 定式化 — 適切な言葉や文法を選ぶ
- 実行 — 実際に声に出す
フィラーが出るのは、主に 2番目の「定式化」 でつまずいた時です。
言いたいことは頭にある。でも、それを適切な言葉に変換する処理が追いつかない。
そのとき、脳が 「処理中です、ちょっと待って」 というサインとして出すのが「えー」や「あのー」です。
つまり、フィラーは バグではなくローディング画面 みたいなものです。
(ゲーマー的に言えば、NowLoading…ですね)
緊張すると悪循環が始まる
さらに厄介なのが、 緊張すると増える というメカニズム。
緊張する場面では「自分の話し方、変じゃないかな」と自己監視が始まります。この監視にも脳のリソースが使われるので、言葉を組み立てる方にリソースが回らなくなる。結果、フィラーがさらに増えます。
緊張 → 自己監視 → リソース不足 → フィラー増加 → さらに焦る
この悪循環、身に覚えがありすぎます。
意外な真実:フィラーは武器にもなる
ここまで読むと「やっぱりフィラーは悪だから消さなきゃ」と思うかもしれません。
でも、研究によると話はそう単純ではないようです。
流暢すぎると逆に怪しい
あまりにもスラスラ話す人に対して、聞き手は無意識に 「これ、台本読んでない?」 と感じることがあるそうです。
適度なフィラーは 「今、リアルタイムで考えています」 という誠実さのサインとして機能します。
難しい質問に対して、少し考えて「うーん…」と言ってから答える人と、即座に淀みなく答える人。どちらが信頼できるかと聞かれると、多くの場合は前者の方が「真剣に向き合っている」と感じられるのではないでしょうか。
フィラー入りの方が記憶に残る
面白い実験があります。被験者に2種類の音声を聞かせたそうです。
- A:完全に流暢な説明
- B:適度にフィラーを含む説明
結果、 Bの方が内容を正確に記憶していた 。
フィラーが「次に重要な情報が来ますよ」という注意喚起の信号として機能していたということです。
ただし、限度はある
研究では 100語あたり1.28回 を超えると逆効果とのこと。
それ以上になると「準備不足」「自信がない」という印象に切り替わります。
つまり 「ゼロにする」のではなく「適量を保つ」 が正解ということになります。
(100語に1回って、意識すると結構シビアですけどね…)
今日からできるフィラー対策5選
心理学の知見を踏まえた上で、フィラーを「無意識の癖」から「コントロール可能なスキル」に変えるための方法をまとめます。
1. 録音して聞き返す(これが全ての土台)
YouTube時代に嫌というほどやりましたが、やはりこれが一番効きます。
自分がどんな場面で、どんなタイミングでフィラーを出しているかを知らないと、対策の立てようがありません。
スマホのボイスメモでもいいし、PCでの音声入力なら履歴が残る場合もあります。
まず現状を知ること。これが全ての土台です。
2. フィラーを「沈黙」に置き換える
「えー」と言いそうになったら、代わりに2秒黙る。
これだけで印象が変わります。
フィラーは「沈黙が怖い」から出るものです。でも実は、聞き手にとって2秒の沈黙は全然長くない。むしろ 情報を消化する時間 として機能します。
プレゼンの上手い人がよく使う「間(ま)」の技術と同じですね。
3. 話す前に「構造」を決める
「3つあります」と最初に宣言してから話し始める。
これだけで脳の「定式化」処理がラクになります。ゴールが見えている状態で話すと、フィラーは激減します。
AIへの指示出しでも、「やりたいことは2つ。1つ目は…」と構造化してから話すようにしたら、明らかにフィラーが減りました。
4. 「ゆっくり話す」を自分に許可する
速く話そうとすると、脳の処理が追いつかなくなってフィラーが増えます。
「ゆっくり話していい」 と自分に許可を出す。それだけで自己監視の悪循環が弱まります。
(これは10年前の自分に一番教えてあげたかったですね)
5. AIに話しかけて練習する
これは最近気づいたのですが、 AIへの音声指示が、そのままフィラー改善の練習場 になっています。
相手がAIだから恥ずかしくない。録音を聞き返すのも心理的ハードルが低い。しかも指示が正確に伝わったかどうかの フィードバックがすぐ返ってくる 。
人間相手だと「えー」が多くても空気で伝わったりしますが、AIは言葉通りに受け取ります。伝え方の精度が問われる。
正直、これ以上のトレーニング環境はないかもしれません。
おすすめの機材・ツール
フィラー改善には「録音 → 聞き返し → 練習」のサイクルが不可欠です。私が実際に使っている・使ってきた機材とツールを紹介します。
録音用マイク
音声入力やオンライン会議で自分の声をクリアに録音するなら、USB接続のコンデンサーマイクが便利です。
おすすめ:
- FIFINE USBマイク — 3,000〜5,000円台で買えるエントリーモデル。音声入力の練習用には十分すぎる品質です
- Blue Yeti — YouTuber御用達の定番マイク。指向性を切り替えられるので、録音環境に合わせて使えます
(私がYouTube時代に使っていたマイクはもう廃盤になりましたが、当時5,000円程度のもので十分でした)
音声編集ソフト
- Audacity(無料) — 波形を見ながらフィラーを削除できます。私が「波形でフィラーを覚えた」のもこのソフトです。Windows / Mac 両対応
AI音声入力ツール
- Windowsの音声認識 — Windows + H キーで起動。手軽に音声入力を試せます
- AI開発ツール — VibeCodeing対応のAIエージェントなら、音声指示がそのまま練習に。フォードバックもすぐ返ってくるので効率がいいです
まとめ:「直す」ではなく「コントロール」
YouTube時代、波形で覚えるほどフィラーを消しまくりました。
でも、10年経って分かったことがあります。 フィラーは「消すべき欠陥」ではなく「コントロールすべきスキル」 だということです。
- フィラーは脳が「処理中です」と言っているサイン
- 適度なフィラーは誠実さや記憶定着に貢献する
- ゼロにするのではなく、 100語に1回以下 を目安に
- 「えー」を「沈黙」に置き換えるだけで印象は変わる
- AIへの音声指示は、実は最高の練習場
AIが完璧に流暢な言葉を紡ぐ時代だからこそ、人間の「えー」には価値があると考えてます。
ただし、それは 無意識に出てしまう「えー」ではなく、意識的にコントロールされた「間」 であるべきです。
次にAIやオンライン会議で話すとき、ちょっとだけ意識してみてください。
(…とか書いておきながら、私もまだ全然直ってないんですけどね w)

コメント